プロジェクトは段取りで7割が決まります。段取りを組むとはプロジェクトの関係者を明らかにし、作業項目、順序を洗出し、もっとも効率的な工程に組み上げることです。全員が無駄なく仕事を進めるには段取りなしにはありえません。

スポンサーリンク



7.7.2 段取りを組む

7.7.2.1 フォーメーション

このプロジェクトの関係者を洗い出します。関係者の洗出しを先に行っておくと、各工程の情報共有すべき人への連絡や確認漏れを防ぐことができます。これは組織ごとに組織図形式でまとめると、視覚的にはわかりやすいですが、表形式でもかまいません。

関係者を洗い出す

プロジェクトの性質、規模にもよりますが、ざっと洗い出すと以下の分類になります。

(1) 顧客

顧客が部署や会社組織なら、階層図にし、決裁者、キーパーソン等の位置づけを明確にしておきます。

以下はすべて、顧客以外のフォーメーションです。
(2) 自部署
(3) 関連部署/関連グループ企業(親会社・子会社)/下請先
(4) 取引先/他社
(5) 顧問先(弁護士、税理士、司法書士など)
(6) 官公庁
(7) その他影響を受ける人

‘(2)~(6)はプロジェクト達成のために何かをしてもらう人達で、通常、ここには顧客は含まれません。
すべてのプロジェクトに(2)~(7)が存在するわけではありませんが、関係者の見落としが無いよう(2)~(7)の視点で洗出しを行います。

(2)自部署

このプロジェクトに関係する自部署の人の名前を列挙し、それぞれの役割を簡単に記述する。その際、自社の組織図など、社内の部署が一覧できるような資料を使って、関係するかどうかを確認していくと、情報共有すべき部署の漏れを防ぐことができます。

(3)関連部署/関連グループ企業(親会社・子会社)/下請先

このプロジェクトに関係する、社内の他部署、グループ企業内の他部署、下請け先(本来なら自分の会社でやるべきことを委託する会社。このプロジェクトの経費としての支払いが発生する会社は通常ここに含まれる。)

大規模プロジェクトの場合は、このプロジェクトに先行するプロジェクト、平行して進んでいるプロジェクト、またはこのプロジェクトの結果を受けてスタートするプロジェクトなども含まれます。

(4)取引先/銀行/他社

このプロジェクトに関係する、または影響する取引先、他社。ただしこのプロジェクトに関して、あなたの会社が指示・命令する立場、または逆の立場なら(3)に含まれます。あくまで独立した対等の位置関係にある他社です。

(5)顧問先(弁護士、税理士、司法書士など)

このプロジェクトを進めるにあたり、助言や確認をもらう相手。通常、弁護士、税理士、司法書士、社会保険労務士などの士業の顧問先ですが、会社OBなどもここに含みます。
あらかじめ自社の顧問先、コンサル依頼先の一覧を作成しておくと、相談すべき相手の見落としを防ぐことができます。

(6)官公庁

プロジェクトが許認可事業なら、その許認可の監督官庁。大規模な組織再編などでは、公正取引委員会の承認が必要になったり、前例のない試みであれば税務署の見解を確認しておく必要があります。

(7) その他影響を受ける人

顧客でもなく、関係者でもなく、そのプロジェクトによって影響を受ける人がいれば、洗い出しておきます。この場合は、どんな影響を受ける可能性があるのかもあわせて記載します。例えば、そのプロジェクトに関する近隣の人、競合先などがあります。

広くとらえる

どんなプロジェクトであれ、そのプロジェクトの関係部署、取引先、影響先を広くとらえておく習慣をつけておくと、情報共有すべき相手先の漏れを防ぎ、急きょ他部署との調整が必要になる、などということが無くなります。

この広くとらえるというのは、漠然と1人の頭の中だけで進めると、どうしても見落としがでます。
プロジェクトの規模が大きい場合は、チームで組織図などを見ながら、関係する部署に見落としがないかどうか検討するとよいでしょう。

あらかじめ以下のような資料を準備しておくと、円滑に作業を進めることができます。

  • 社内組織図
  • 役員一覧
  • 企業グループ一覧
  • 顧問先(顧問弁護士、顧問税理士等)一覧

7.7.2.2 イベント/成果物/マイルストーン

多くの場合、成果物単体がプロジェクトの最終目的であることは少なく、成果物を使った発表やプレゼン、あるいは業務のスタートなど、イベントがゴールになることが多くなります。またイベントは最終ゴールだけでなく、経営会議の承認を得る、稟議承認を得るなどの、中間のイベントもあります。

成果物も最後に出来上がるものだけでなく、途中でできている必要があるもの、それがないと次に進めないものなど、成果物ごとの期日は一定ではありません。
期間が長期にわたる場合は、中間の成果物やイベントがマイルストーンになりますが、明確なものがないなら、途中の進捗状況を把握するためのマイルストーンの設定が必要です。

イベント例:

イベントになるものとしては、以下のようなものがあります。

  • キックオフミーティング
  • 経営会議承認/常務会承認/取締役会承認
  • 月次進捗報告/中間報告
  • ユーザー/運用説明会
  • 商品/製品発表会/最終報告
  • 許可申請
  • プレスリリース
  • カットオーバー/稼働開始日/竣工式

イベントはいずれも期間ではなく、特定の日時を指します。いくつかはあらかじめ設定されている日時もありますが、ほとんどのものはプロジェクトの予定に応じて設定されるものです。日付を決めることができるものは決めておくべきですが、そうでないものは当面は3月上旬とかの仮置きでもかまいません。

成果物例:

成果物となるものの例です。

  • 企画書/提案書(見積書含む)
  • 仕様書/設計書
  • 試作品/試売品/プロトタイプ
  • ソフトウェア/システム
  • 取扱説明書/操作説明書/運用説明書
  • 届出書
  • 報告書

マイルストーンを設定する

マイルストーンはプロジェクトの進捗状況をはかるもので、イベント日や成果物の完了日が適度に配置されていれば、それをマイルストーンとします。しかし成果物の作成に1カ月以上かかる場合などは、マイルストーンを設定していないと、1か月後に確認してみたら全然できていなかった、などということになりかねません。こうしたことを防ぐために、1週間とか2週間ごとに、10本中5本完了とか、30%収集完了とか、できれば数値で表現できる目標を設定し、それとの実際の差異によって進捗を確認するものです。

7.7.2.3 スケジュール

スケジュールは日程表の中に作業項目(タスク)を落とし込んだもので、よく使われるのがガントチャートといわれるものです。

このときに日程の目盛を1日にするのか、1週間にするのか、あるいは月にするのかは、プロジェクトの期間によって決まってきます。期間が長期にわたる(6カ月以上)の場合は、1カ月を1メモリとする大日程を作成し、1日または1週間を1メモリとするスケジュールを作成します。
6ヶ月未満のプロジェクトであれば、あえて大日程まで作る必要はありません。

スケジュール表の作成

(1)イベントをプロットする

スケジュール表にはまず、イベントをプロットしていきます。スケジュール上のイベントとは、それが行われる開催日、開始日、実施日などのピンポイントの日付です。

(2)成果物作成工程を記入する

成果物の作成期限の多くはイベントと紐づいていますので、イベントをプロットすると成果物の作成期間の線をひくとことができます。成果物の作成に3週間必要なら、イベント前日が成果物の作成完了日で、そこから3週間遡った日が、成果物の作成開始期限になります。

(3)作業順位・手順を調整する

成果物がいくつかある場合は、成果物間で関連があり、これが先に固まっていないと作れないとか、これをまとめた後の方が作業がしやすいといったことがあります。そうした関連性がある場合は、(2)で一旦引いた作業期間の線を前倒しにする調整を行います。

また、以下の仕事の場合は、早めに手配し、スケジュールに余裕を持たせる必要があります。

やってもらう仕事

誰かに依頼する仕事や外部に委託する仕事、つまり自分の努力の範疇にない仕事。これがある場合は、できるだけ早く、誰かや外部に仕事を依頼する(ボールを投げる)必要があります。その仕事が終わらないと次に進めないような場合は特にです。

時間のかかる仕事、次に進むために避けられない仕事

仕事を進める上で、それが終わらないと次に進めず、全体が止まる仕事。それらは全体の進捗に影響する仕事(クリティカル・パス)です。そうした仕事の優先順位は常に高いのです。

7.7.2.4 作業割当

あらかじめ2.1でフォーメーションが整理できていると、2.3.1で作成したスケジュールに担当者・担当部署・担当企業を割り当てていきます。このとき特定の誰かに一時的に作業負荷が集中するようなら、作業が重なり過ぎないよう作業の開始・終了時期を調整する、要員を補充するなどの対応が必要になります。

ゴールが優先順位を決める

その作業がゴールに至るまでに必要なことなのかどうか、ゴールとは関係ない仕事になっていないかどうかで判断しましょう。ゴールに至るまでに重要なこと、その重要度合いで仕事のプライオリティ(優先順位)が決まり、そこの戦力を集中させるようにします。

INDEX
7.7.1 プロジェクトで最初にやるべきことは明確なゴール設定
7.7.3 進捗を管理しなければスケジュールを立てた意味がない
 

スポンサーリンク