組織は戦略に従う

チャンドラーの有名な著作に「組織は戦略に従う」というというのがあります。まず戦略があり、その戦略を達成するのに必要な機能が整理され、それが組織の基本となるのです。このことが忘れ去られると、会社として本来その組織に求められる機能が曖昧になり、「営業部だから」とか「総務部だから」とか、部署名が持つ一般的なイメージで役割を決めていこうとします。

戦力によって組織を決める

会社の個々人は定型化できるものではありません。能力差はあるし、できることも違います。総務だからとか人事だからとかで教科書どおりに一律に業務範囲を決めても、総務部長と人事部長の能力差が大きければうまくいきません。歴史のある大企業であれば、総務としてキャリアを積み重ねてきた社員の中から、総務部長を選ぶことができるでしょうが、上場企業も含めた大多数の企業は、そのときの人材に応じて役割や権限を割り振るしかありません。そこを総務部長だからといって教科書的に役割や権限を決めてもうまくはいきません。要は今ある戦力を目的達成のために最大限に活用できるよう権限を割り振る-これが組織の基本です。

これを忘れて、事細かく職務や権限を割り振ることに注力すると、部署間の溝が深くなるだけでなく、各部署は、会社の戦略よりも自分の部署の利益を優先し、やがて「戦略は組織に従う」ような大企業病に陥っていきます。

部署は安定化を志向する

あらゆるものは安定化を目指します。仮に作られた部署であっても、自部署の業務を明確にすることによって、自部署の存在意義を高めようとします。一旦業務範囲が決まると、業務内容の深化が始まり、業務を深く追求することで自らの価値を高め、部署の安定化を進めます。こうなると会社本来の目的よりも、自部署を守ることが優先され、他部署への注文が厳しくなるだけでなく、極力余計な業務を増やさないようにします。こうして部署が自己目的化されると、何よりも自部署の利益が優先され、会社の戦略よりも自部署が優先されるようになります。
これは組織が安定化を志向する以上避けられないことです。

柔軟な組織を作る

漏れを出さず、ダブりを防ぐ。そのためには各部署の役割を決めておく必要があります。ただその境界線作成に固執すると、部署間の溝は深まり、組織は硬直化し、戦略よりも組織が優先されるような企業になります。
これを防ぐためには、例えば役員人事に合わせた部署の再編、境界線を柔軟に見直し・変えていくような制度の導入、機能を中心とした組織の再編・細分化などの工夫が必要です。
社長交代後の重要な仕事が人事・部署再編であるように、常に組織そのものを硬直化させないような取り組みが必要です。

 

スポンサーリンク