ガバナンスという言葉の意味するところは、なかなか理解しにくい概念ですが、 コーポレートガバナンス の意味を考える場合は、内部統制とセットで考えるとわかりやすくなります。

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内部統制という言葉を知ろう

内部統制自体もわかったような分からない言葉ですが、ごく割切った言い方をすると、内部統制とは、社長(代表者)が会社を自分の意のままに動かす仕組みだと理解しています。

会社を車に例えると、社長はドライバーであり、内部統制ができているとは、ドライバー(社長)がハンドルを右に切れば、車(会社)がちゃんと右に曲がるということです。
逆に、内部統制が出来ていないと、社長が右にハンドルをきっても、曲がり始めるまで時間がかかったり、アクセルを踏んでも、一方でブレーキをかけている勢力がいたり、逆にブレーキを踏んでも、止まらずにズルズルと進んで、壁に激突することになります。

このため会社(車)が健全に経営されるためには、社長(ドライバー)の意思決定が速やかに具体化されるよう、内部統制ができあがっている必要があります。

内部統制の限界

ただ、内部統制には、構造的な限界があります。ドライバーと車のたとえでいうと、いくら内部統制ができていても、ドライバーがヤンキーであればまったく意味がないということです。

内部統制は、ドライバーの意志どおりに動く仕組みですので、ドライバーが法定速度以上にアクセルを踏み込んだり、赤信号で交差点につっ込んでも、車は忠実にそれに従います。結果的にスピード違反を起こしたり、信号無視で事故を引き起こすことになります。

コーポレートガバナンスの必要性

コーポレートガバナンスとは、この内部統制上の限界を防ぐ仕組みです。例でいえば、ドライバーである社長の隣や後ろの席に、社長が無謀な運転をしないようチェックできる人を乗せようというものです。

この場合の同乗者は、社長の部下や仕入先など、自身の待遇あるいは生活が社長の決定に左右される人であれば、社長に苦言を呈するには限界があります。このため同乗者には、会社からは独立した、社外監査役や社外取締役が求められることになります。

コーポレートガバナンスの役割

社外監査役や社外取締役に重点を置くコーポレートガバナンスの考え方は、コンプライアンスにウエイトを置いた場合の考え方で、会社ぐるみの不正を防ぐ仕組みとして、ある意味分かりやすい面もあります。

法令順守だけでは意味がない

ただ企業の目的・存在意義は、コンプライアンス、法令順守にあるわけではありません。もちろん法令順守は当然ですが、その企業が存在する意義は、いかに顧客に価値を提供し続けられるかにあります。その場合に求められるコーポレートガバナンスとは、場面や環境、時代が変っても、その企業らしいやり方、考え方で価値を生み出せる構造、仕組みになります。

企業の寿命は30年といわれますが、これは創業者が精力的に働ける期間と呼応します。その間に商品やサービスを生み出し、企業が発展するわけですが、多くの企業で創業者の引退とともに衰退が始まります。企業が創業者とともに滅び去らないためには、創業者が商品やサービスを生み出す根本となっている思想、価値観、考え方が、創業者が去った後もその企業の骨格をなしている必要があります。

DNAを作る

これはよく企業のDNAと呼ばれるものですが、その企業らしさを失わない構造と仕組みづくりこそ、創業者を越えて、企業をその企業らしく存続させるものだと思います。
ややもすると社外取締役や独立役員の必要性に終始する「コーポレートガバナンス」という言葉にとらわれずに、本来の企業の永続性を維持する枠組み・仕組みづくりとしてのコーポレートガバナンスが必要です。

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