新たな機械の導入とかで作業時間が短縮できても、それだけでは人件費は削減されません。人件費を削減するとは、社員の残業手当を削る、パートの勤務時間を削る、あるいは辞めてもらうことです。
そこまで踏み込む覚悟なしに、気安く人件費の削減などと言ってはいけません。

時間を削っても人件費は減らない

新しいコンピュータシステムを導入する際とか、新しい機械を買うときに、導入効果として人件費の削減があげられることがよくあります。これが入ると4時間かかっていた仕事が30分でできるとか、2人必要な作業が1人でできるようになるとか、です。
しかし導入した後で実際の削減効果を検証してみると、人件費に関してはほとんど削減できてないことが分かります。。

作業時間削減の効果に騙されるな

導入する側は、「1日当り3時間の時間短縮ができるので、法定福利費込みの担当者の時給を2000円とすると、月間132,000円(3時間×2000円×22日)の人件費削減効果があります。したがって150万円のこの機械を導入しても1年で投資金額を回収できます。」などといいます。

しかし実際には、担当社員の1日当りの残業代を3時間削らなければ、人件費は計画どおりには削減されません。あるいはその作業を担当していたパート従業員をクビにするとかです。

作業時間削減の人件費削減効果は薄い

その機械の導入で実際に1日3時間削減できても、だいたいの場合、3時間分仕事が楽になるだけか、他の仕事が増えるだけです。せいぜいできても配置替えくらいで、それでは導入した部署の人件費は減っても、会社全体の人件費は、何も変わりません。

人件費は、社員やパートアルバイトなど、従業員の給与です。人件費を削減するというのは、社員かパートアルバイトか誰かの給与を削る、または無くすという意味です。この誰かの給与を削るという現実に踏み込む覚悟がなければ、「人件費削減」を導入のうたい文句にすべきではありません。

人手不足の解消目的なら

作業時間の短縮だけを目的で導入してよいのは、ひとつは慢性的な人手不足を解消したいときです。それを導入することで超過勤務が減り、人手不足が解消されるなら、十分導入する価値があります。

あるいは社員を単純作業から解放し、もっと付加価値の高い仕事に使える時間を確保したい場合です。
作業時間の短縮は、労働力不足を補う、または社員の仕事の価値を高めたいときに検討すべき項目です。それを人件費の削減に結び付けたいなら、誰かの給与を減らす覚悟が必要です。

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