組織では、いろいろな会議、ミーティングが開かれます。そこで決まったこと、課題を会議の参加者や関係者と共有する、認識を合わせるには、議事録が役に立ちます。ただし、議事録の作成自体は、仕事本来の目的ではありませんので、議事録の作成に時間をかけ過ぎるべきではありません。

会議には議事録自体が重要な会議とそうでない会議がある

重要会議では議事録は「成果物」

取締役会、経営会議や常務会など重要な決定を行う会議では、決定に際してどういう議論が行われ、誰が反対したかなど、決定に至る経緯を明確にしておくことは大事です。このためこの種の会議では、議事録自体がひとつの成果物でもあります。

それ以外なら議事録に労力をかけない

逆に、決裁権限のない通常の会議やミーティングでは、議事録の作成に時間をかける必要はありません。大事なのは議論経緯ではなく、何が決まったのか、宿題は何かを共有することです。
※「議事録」という言葉に抵抗があるなら、「会議メモ」でも「確認事項」でもなんでもかまいません。

仕事のための仕事

重要な会議でなくても会議をボイスレコーダーに録音し、それを聞きながら議事録を起こす人がいますが、そんなことに時間をかけるのは、ハッキリ言って時間の無駄です。そんな議事録の作成は、いわゆる「仕事のための仕事」で、そんなことに労力や時間をかけるべきではありません。

議事録に残しておくべきこと

決まったことは最終成果物に残す

決まったことについては、議事録の中で何が決まったのかと、何故そう決めたのかを箇条書きで残します。
もし、開発や製造など、何かを作り上げるための仕事の中での会議なら、決まったことは議事録に残しておくよりも、設計書や仕様書など、最終の成果物に反映すべきです。

宿題を明確にしておく

会議の中で、課題がでてきます。それはすぐに取り組むべき課題であったり、将来的な課題であったり様々です。このうちすぐに取り組むべき課題、すくとも半年以内に取り組むべき課題については、誰が責任者として取り組むのかを明確にしておく必要があります。

議事録に労力をかけないやり方

会議の最後で確認する時間をとる

いろいろな話し合い、議論の過程・展開はあるでしょうが、この2つ(決まったこと、宿題)が参加者や仕事のメンバーに共有できれば、それで議事録はOKです。できれば、会議後に議事録を作成して確認するのではなく、会議の最後に、決まったこと、宿題を口頭で確認して、会議を終わるようにしましょう。

会議中にすべてを終わらせる

もう一歩進んで、可能なら、議事録作成者は、ノートパソコンを持ち込み、会議中に決まったこと、宿題を整理し、会議の最後にプロジェクターで写して確認する。それを後で、イントラネットの掲示板や共有フォルダにおいておけば完了です。

事前に準備しておく

議事録の定型部分(ミーティング名、開催日時、場所、出席者、テーマ)などは、前回の議事録のコピーからあらかじめ作り込んでおきます。そうすれば会議中は、決まったことと、宿題の記録を残すだけです。それだけであれば、会議中に作成し終えることも可能です。ポイントは決まったことと宿題だけですので、印刷しても、A41枚で収まる分量にしておくべきです。

その程度の分量で箇条書き中心で記述するなら、議事録の作成は、EXCELの方が適しています。1議事録がA41枚以内なので、1会議1シートで記録を残していけば十分です。

その会議が毎週月曜とか定期的に開かれる会議なら、次回の会議は、前回の会議の議事録の再確認からスタートします。
この簡単な確認作業を行うことで、前回よりも1歩進んだ段階からミーティングをスタートできるようになります。

 

会議ルールを知らないとダラダラ会議になる

会議にはルールとやり方があります。それを知らない人達が集まって会議をすると、そこからダラダラ会議の始まりです。知らないだけなので、知れば解決されることです。会議の基本ルールは「ロバート議事法」です。

会議の目的は3つ

会議の目的は、(1)何かを決める (2)情報を共有する (3)アイデアを出し合う この3つです。

会議がダラダラ会議になる原因の多くは、参加者が会議の目的が(1)~(3)のどれかを整理してないことによります。これができていない一番の原因は、会議の進行係がファシリテータ―としての役割を果たしていないことにあります。

目的があいまいな会議の場合、(1)~(3)が混在することがしばしばですが、進行係は、今、(1)なのか(2)なのか(3)なのか参加者に明確に示しておく必要があります。

    ファシリテーターとは

    (Wikipediaからの抜粋)
    「1970年代、会議やミーティング、住民参加型のまちづくり会議やシンポジウム、ワークショップなどにおいて、議論に対して中立な立場を保ちながら話し合いに介入し、議論をスムーズに調整しながら合意形成や相互理解に向けて深い議論がなされるよう調整する役割を負った役割にもファシリテーターという言葉が使われるようになる。」

目的で区切る

そのためには会議の進行を予め、(1)~(3)のゾーン(時間帯)を分け、報告事項、決議事項を混在させないことです。((3)は必須ではありません。通常は(3)はブレインストーミングとして別枠でやるべきです。)

各議案にはタイムリミットを設け、一定時間を過ぎても質問が無くならない説明、いつまでも議論が続く決議事項は、進行係が次回以降に再提出するよう仕切り直す必要があります。ダラダラ会議を無くすには、だれかがこのファシリテーターの役割をする必要があります。

ロバート議事法

こうした進行方法の基本は、「ロバート議事法」という、議会運営の古典的メソッドがあります。このやり方は形式ばり過ぎていて、通常の打合せレベルにはそぐいませんが、会議の基本ルールとして一度、目を通しておくとよいでしょう。ネットで「ロバート議事法」とか「ロバート 会議」とかで検索すると、青年会議所の議事運営規則など、いくつもサマリー出てきます。

本格的に学びたい人いは『ロバート議事規則』という650頁を超える専門書もありますが、下記の本(144頁 1,728円)でも十分そのエッセンスを知ることができます

民主主義の文法―市民社会組織のためのロバート議事規則入門―

ロバート議事法のポイント

以下はロバート議事法の基本ルール「4つの原則と4つの権利」です。社会人として、はじめて会議に参加する新人君たちには、この基本ルールを再確認しておきましょう。

4つの原則
  1. 一事一件の原則
    議題を明確にし、1つの議題を決議してから次の議題を議論する。2つ以上の議題を同時に議論しない。
  2. 一事不再議の原則
    1度決議したことは、特別なことがない限り、再度議案としない。
  3. 多数決の原則
    意見が分かれた場合は、多数の意見を採用する。ただし定足数以上であること。
  4. 定足数の原則
    会議の出席数の定足(会員の1/2以上の出席が必要とか)を満たさないと、会議は開催しない。
    賛成が定足数(参加者の1/2以上の賛成が必要とか)を満たさなければ、結論としない。
4つの権利
  1. 多数者の権利
    多数のものが支持する意見を採択する。
  2. 少数者の権利
    少数者の意見を排除しない。1人以上の賛同者がいれば議案に上げることができる。
  3. 個人の権利
    個人のプライバシーにかかわる議論はしない。まして個人の人格に関わる攻撃はしない。
  4. 不在者の権利
    議論の場に不在であっても、委任状、不在者投票などの救済措置をとる。

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