本当に必要なルールには役割がある
会社にはいろいろな守るべきルールがあります。それは就業規則など会社の規定で定められたものから、営業目標を達成するために設定された約束事、部署内の暗黙ルールまで様々です。中には受け入れがたいルールもありますが、それが本当に必要なルールかどうかを判断する基準があります。
必要かどうかの基準
ルールは集団が一つの目的に向かっていくためには必要ですし、集団がルールを守ることで集団がただの人の集まりから、目的を達成するための組織に変わることができます。
ただし、会社の中の様々なルールには、本当に必要なの?と疑うようなものや、単に個人の価値観の押し付けに過ぎないようなものもあります。
組織にとってそのルールが必要かどうかは、次の4つのどれかに当てはまるかどうかで判断することができます。(1) 売上が上がる (2) 利益が上がる (3) 株価が上がる (4) モチベーションが上がる このいずれかです。
(1) 売上が上がる
そのルールが守られることで売上があがるのか。売上は「七難隠す」というぐらい、会社にとって売上増は最優先すべきことです。
(2) 利益が上がる
そのルールを守ることで利益が上がるのか。利益は「売上 ― 経費」ですので、これは一面では、経費が下がるのかと言い換えることもできます。
(3) 株価が上がる
これは多くは信用の問題です。株価は業績にもよりますが、社会的貢献度合いや不祥事など、会社に対する信用が大きく影響します。上場していない企業では、株価を「会社の信用」と置き換えてもよいでしょう。
(4) モチベーションが上がる
そのルールにより、社員、従業員、会社全体のやる気がでるかどうかです。団結力が強まるとか、の評価でもよいでしょう。逆にモチベーションを下げないということもルールの必要要件です。
この4つのどれにも当たらないなら、そのルールは組織にとって本当に必要かどうか再考する必要があります。
※「資産/キャッシュが増える」「負債が減る」という価値基準もありますが、これにあたるルールというのはあまりありません。
※どれかに当てはまっても、当然のことながら違法なルールはダメです。
それは「ルール」ではなく「掟」(おきて)ではないですか
「秩序を守る」は必要か
(1)~(4)以外によく出てくるのが「秩序を守るため」とかそのルールがないと「示しがつかない」とかです。業務の効率化やシステムの維持のために必要なものもありますが、大概が今ある既得権益を守ることに過ぎなかったりします。
この手のルールは多少の経費節減にはなることもありますが、強要されると社員のモチベーションを下げることが多くあります。
実際にあった例では
・始業30分前に来て、掃除をしなくてはならない。
・上司が帰るまで、または○時になるまでは先に帰ってはいけない。
・帰るときには、部長などの役席に直接「お先に失礼します。」と言ってから帰らなければならない。
これらは別々の会社の実際にあったことですが、しばしばルールなどという言い方よりも「掟(おきて)」というべきもので、村社会の秩序維持-権力構造の維持のためのキマリに過ぎないものだったりします。
組織を統制するためには、そうした秩序維持のルールも必要ですが、それが最終的に(1)~(4)に結びつかないなら、単に部長だの課長だのの権威を守るためのルールだったり、個人的な価値観の押し付けだったりします。
変えるのは結構大変
ただし、こうしたルールは体制維持のためのルールですので、その体制の中の一メンバーがそれを否定することは、体制やその体制の長を否定することになります。変えるには、その体制の長の主導か理解が欠かせず、なかなか大変です。
権威の裏付けのないルールは、誰も守らない
すべて表示 ルールの使い方 組織の仕組みを押さえておく
ルールがルール(守るべきこと)として成立するには原則があります。それを踏まえていないと、みんながルールを守ることはありません。ルールの価値は、この原則をどこまで踏まえているかによります。
(1) ルールの決定に権威があること
新人が自分の思い付きで勝手にルールを作っても誰も守ってはくれません。たとえそれが良いルールだとしても、みんなが守るようにするためには、少なくとも、それが適用される範囲の人を統括できる役職の人の承認が必要です。
課のルールなら課長が、部のルールなら部長に承認してもらう必要があります。グループのルールならグループ内で決定する必要があります。
(2) 周知されていること
ルールを守ってもらうには、守る対象の人が知りうる状況にしておく必要があります。知られていないルールは守られようがありません。また個人で勝手にルールを解釈しないよう、明文化しておく必要があります。これにはメンバー共有の掲示板に掲載する、議事録で残す、メンバーにメールで通知する、などの対応が必要です。
この2つは必須です。
あとルールが守られるためには、
(3) 運用状況を監視する仕組みがあること。
(4) ルール違反に対して是正するルールがあること。
(5) ルールを改廃するルールがあること。
が必要です。
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