ビジネスにはいくつかの比率の法則があります。多くは経験から導き出されたもので科学的な裏付けがあるわけではありませんが、この法則を知っているといろいろなところで役に立ちます。
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■汎用的な比率
→80:20 パレートの法則
■組織・人に関する比率
→3:4:3 さしみの法則
→20:70:10 活性化カーブ
■製品・商品に関する比率
→10:20:70 ABC分析
■安全管理に役立つ比率
→1:29:300 ハインリッヒの法則
■デザインの基礎になる比率
→1:1.618 黄金分割
80:20 パレートの法則
汎用化していうと、「現象の8割は2割の要素で構成される」というものですが、例えば次のようなことです。
・ 全体の売上の8割は2割の製品が生み出している。
・ 営業部の利益の8割は2割の営業マンが稼いでいる。
・ 会議の発言の8割は2割の出席者がしている。
ここでいう8割はきっちり80.00%とかではなく、だいたい8割ぐらいのことですが、あてはまる事象は結構あります。
これの意味するところは、すべての要素にチカラを注ぐのではなく、2割の要素に重点を置け、というものです。
上の例でいうと、
・すべての製品に同じ改良コストをかけるのではなく、売上を構成する2割に重点的にコストをかける。
・ すべての営業マンに同率でボーナスを出すのではなく、2割の営業マンに重点的にボーナスを配分する。
・すべての出席者の同意よりも、2割の発言者の同意を得ることにチカラを入れる。
3:4:3 さしみの法則
全体の3割の人間は仕事ができ
4割の人間は普通にこなし
残りの3割はぶら下がっているだけ。
この法則の意味するところは、全体はどうしてもそうした人間の比率になっていくということで、最初から出来る人間とダメな人間がいるということではありません。
仮にぶら下がりの3割の人間をカットすると、残った7割のうちの3割がぶら下がりになっていく。
逆もあり、カットされた3割の人間が集まると、その中の3割の人間がその集団の中の仕事のできる人間になる。
20:70:10 活性化カーブ
ジャック・ウエルチがGEのCEOだった頃に導入した考え方です。
全体を2割の有能な人材、
7割の普通の人材、
1割のできない人材に分けます。
毎年、下位の1割の人間をカットし、新しい人材で1割を補充すると、組織内で新たに20:70:10の組み換えが始まり、組織を常に活性させることができるという考え方です。
どんな人材を集めようと、組織は同じような、有能、普通、ダメの比率で構成されるとしているところは、3:4:3の法則と同じ考え方です。
毎年1割リストラするというのは、アメリカ的ではありますが、リストラしなくても、配置転換でも組織の活性化は可能です。
10:20:70 ABC分析
パレートの法則を実際の製品分類に当てはめた考え方です。
製品を売上高の多い順に並べ、
上位10%の製品をA、
次の20%をB、
残り70%をCに分類します。
そうするとAの商品だけで、売上の7割を占めていたりします。分類した商品をAはさらに伸ばし、BはA分類になるよう育成し、Cは新しいものに入れ替えていく。 というアプローチをとります。
これは売上だけでなく、利益とか在庫額とか研究費用とか、製品に関わるいろいろな要素で分析することができます。
また製品は、サービスだったり、プロジェクトだったり、顧客だったりと、会社の売上をもたらすものに置き換えて分類することが可能です。
1:29:300 ハインリッヒの法則(ヒヤリハットの法則)
これは安全管理の考え方です。
300回のヒヤリとしたり、ハッとした、事故を直前に回避したことが起きていると、30回の事故が起き、ほとんどは軽微な事故ですが、30回に1回は重大な事故を引き起こすというものです。
これの意味するところは、300回の、事故にはならなかったけれどヒヤリやハッとした事を洗い出し、それ自体を起きないように改善することで、重大な事故が防げるというものです 。
1:1.618 黄金分割(黄金比率) 5:8
これは主にデザイン上の話です。
長方形の短い方の辺を1としたときに、長いほうの辺を1.618にすると、安定した心象のよい形になるというものです。
もともとはギリシャ建築から来ている比率ですが、人が生理的に好む、受け入れやすい比率です。
パソコンのウインドウとかポップアップとかの比率でも使えますが、長方形に限らず、ひとつのものを2分割するときの比率として使えます。
1枚の紙(ノート、マニュアル、チラシなど)を縦(または横)にこの比率で分け、1.618の方をメインの情報、1の方にサブ情報を記載するとスッキリとまとまります。
なお、1枚の紙でいうと、一番重要な情報は、左側の上部に記載するともっとも目につきやすくなります。
チェーンレストランでは、開いたメニューの左側の上部に最も売りたい料理やお勧めメニューを置くのが常道です。
5:8は、5を1に置き換えると 1:1.6になり、黄金分割に近い比率になりますので、黄金分割の簡易版の比率として使えます。
ただ、黄金分割は安定感のある比率ですので、多用するとちょっと退屈なデザインになり勝ちですので注意しましょう。
黄金分割のバリエーションとして、1:√2とか:、1:√3が使われることもあります。
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