クレドの意味は、「信条」と訳されることが多く「経営理念」に近い部分もありますが、クレドは、従業員ひとりひとりのためにあり、さらにいうと従業員が出会ったことのないケースでの行動指針です。

伝統的なチェーンではマニュアルが中心

伝統的なチェーンストアビジネスの考え方は、極論すると如何に現場で判断させないかにあります。従業員の個人個人が判断して営業していくのではなく、マニュアルに従って、マニュアルに忠実に業務をこなしていくことを求めます。このため定期的にマニュアルの理解度のテストをし、それが昇進の前提条件だったりします。

ただしそうはいってもすべてのことをマニュアル化できるわけではないし、仮にマニュアル化してもマニュアル自体が膨大になるだけで、だれも頭にいれおくことなどできなくなります。

クレドは会社の価値観の基本

そこですべてをマニュアル化するのではなく、基本となる考え方・価値観の共有をはかろうとする考え方がでてきました。これはクレド(信条)と呼ばれるもので、企業のマニュアルの元となる価値観を集約したものです。

現場で何か起きたとき、マニュアルに想定している事項であればそれに従えばよいですが、すべての事象がマニュアルにあるとは限りません。また記載してあっても、前提や条件が異なり、マニュアルどおりに適用できないこともあります。またいちいちマニュアルの記載個所を探していたのでは手遅れになることもあります。

クレドは何か起きた時の判断基準

そんなときにその企業にクレドが定められており、現場でも徹底されていれば、現場はそれにそって判断すればよくなります。
ジョンソン&ジョンソンのクレドは非常に有名でそこには、同社が優先すべき順位は「第一:医師、患者、顧客 第二:従業員 第三:地域社会 第四:株主」であることが明示されています。何か判断に迷うようなことがあれば、その優先順位で判断することを求めています。
1982年に同社の鎮痛剤タイレノールに毒物が混ぜられて死者がでたとき、すぐに危険であることを全国的に告知して、300億円近くかけて全品回収しました。ためらくことなく迅速にこの経営判断がとれたのは、常日ごろからクレドを行動の指針としてきたからでした。

ディズニーランドでは
ディズニーランドのクレドは「安全、礼儀正しさ、ショー、効率」です。2011年3月11日に東日本大震災が起きた際に、ディズニーランドでは多くのアルバイトが、採算よりも顧客の安全を第一に自主的に行動したことは有名な話です。

クレドをお題目としない

「お客様第一」を上げる企業は多いと思いますが、それがうわべだけの企業では、上司の指導が「お客様第一」ではなかったり、マニュアル自体も「お客様よりも会社の利益優先」が根底にあったりします。このためいくら毎朝「お客様第一」を唱和しようが、いざというとき、それが行動の判断基準に結びつくことがありません。

もし、クレドを徹底しようとするなら、会社の規定からガイドライン、マニュアル類に至るまでクレドに沿ったものかどうか見直す必要があります。さらにクレドを第一とするケーススタディ(自社のケースが最もよいですが、なければジョンソン&ジョンソンなどの他社事例)による定期的に教育がかかせません。

 

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